6年算数 
図を書いて考えよう
全体を1と見て解く問題
(仕事算)
子どもの学習支援 by いっちに算数

 6年生の算数学習で図を書いて考え方を伸ばす問題の教え方を紹介しています。東京書籍の教科書では、「比例反比例」の後にある「考える力をのばそう」の項目にあたります。
 全体を1と見て、部分を分数の割合で考え、図を使って求める問題の教え方です。
 中学受験では「仕事算」などと呼ばれている問題形式です。

問題1

 水そうに水を入れるための管が3種類あります。
Aの管で水を入れると9分でいっぱいになります。
Bの管では12分かかります。
Cの管では18分かかります。
 このABCの管を同時に使うと何分でいっぱいになりますか。

解き方1

問題をとらえるために下の動画を見せます。




動画作成協力・・動くイラストフリー素材

問題の意味がとらえられたら、解き方を考えさせます。

ヒントは下の図です。


解き方と答えがわかったら、答え合わせを下の動画で見せます。(わからなかった場合は、下の動画で理解できなかったところを説明します)



動画作成協力・・動くイラストフリー素材

この問題は、水そうに入る水全部の量が提示されていませんが、全体の量がわからなくても、全体を1と考えて、分数で割合を表すとこういう問題を解くことができます。
【考え方の基本】
A・・9分で満杯になるから1分では全体の9分の1の量が入る
B・・12分で満杯になるから1分では全体の12分の1の量が入る
C・・18分で満杯になるから1分では全体の18分の1の量が入る

以上のことが理解できれば、
全体÷一度に入る水の量(A+B+C)
という式が思いつくでしょう。



通分の理解があいまいなお子さんには、下のページでおさらいをさせましょう。
「5年 通分のしかた」


解き方その2

 分数の計算は、分母が大きな数になるとまちがえやすくなります。分数の計算が苦手なお子さんはヒントを見てもやる気が出ないかもしれません。
 そこで全体を1ときめるのではなく、3つの管の水量の最小公倍数を全体として考える方法もあります。

9と12と18の最小公倍数は、36ですから、水そうに入る水の量を36Lと考えます。

すると 
Aは9分で36Lだから 
 36÷9で1分間に4Lずつ
Bは12分で36Lだから
 36÷12で1分間に3Lずつ
Cは18分で36Lだから
 36÷18で1分間に2Lずつ
水が入ると考えられます。


このことからABC3つ一度に使うと
4+3+2=9 で1分間に9Lずつ入ることになります。
全体36Lのところへ9Lずつ入れるので
36÷9=4  と 4分間でいっぱいになる
と 答えが求められます。


36÷9=4
36÷12=3
36÷18=2
36÷(4+3+2)=4  答え 4分

 この解き方だと整数だけで計算できるので計算間違いしにくく、分数が苦手なお子さんにも理解しやすくなります。こちらの方法でも解かせて、お子さんがやりやすいほうの方法を使わせるといいでしょう。
 ポイントは、3つの量の最小公倍数を水の総量とする考え方です。


お子さんが理解できたら、下の練習問題にもチャレンジさせましょう。

練習問題2

 山本さんと川田さんがビルのかべのペンキぬりをしています。
 山本さんは、4時間で全部のかべをぬることができます。
 川田さんは、6時間で全部のかべをぬることができます。
 2人いっしょにかべぬりをしたら何時間でぬり終わるでしょうか。(答えは分数のままでよい)

解き方と答え

ヒント
山本さんは、全体を4時間でぬり終わるので
1時間にぬれるのは全体の4分の1
川田さんは、全体を6時間でぬり終わるので
1時間にぬれるのは全体の6分の1

図で考えると

このようになりますから

2人いっしょにペンキぬりをすると下のような式と答えになります。


発展問題
答えの分数の時間を何時間何分に直せるお子さんには、直させるとよいでしょう。
ヒント・・・1時間は60分


答え 2時間24分です。


練習問題2を整数で解く方法
4と6の最小公倍数12を全体の数と考えます。
(かべの面積を12と考える)
山本さんは4時間で12ぬれるので、1時間では12÷4=3ぬれます。
川田さんは、6時間で12ぬれるので、1時間では 12÷6=2ぬれます。
2人でいっしょにかべぬりをすると
3+2で1時間に5ぬれます。
全体12を1時間に5ずつぬっていくので
12÷5=2.4   となります。

 

12÷4=3
12÷6=2
12÷(3+2)=2.4  答え2.4時間
(答えは分数でも 2時間24分でも正解です。)

保護者の方へ

 全体の量が問題文に出ていないのに勝手に決めることに抵抗があるお子さんもいるかもしれません。
 全体を1と見る割合の考え方を理解してから、最小公倍数を使う方法を教えると1と考えても、他の数で考えてもりくつは同じということが、わかるようになるでしょう。
 整数で解く方法は計算間違いしにくいというメリットがありますが、全体を1と決めるほうが問題文の意味はとらえやすいので、両方教えることをおすすめします。
 また、こういう問題では、分数の時間や小数の時間が答えになることが多いので、分数時間や小数時間を○時間○分と置き換えられるようにしておくことも大切です。

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