図形指導の基本的な考え方を、簡潔にまとめています。各学年の図形領域の指導に共通していますので、授業づくりや授業研究の際の参考にしていただければと思います。詳しくは小学校学習指導要領解説算数編の原本をご覧下さい。
【図形の概念形成について】
図形の概念の形成は、それぞれの図形をもとに、あてはまる、あてはまらないと分類する活動を通して、その図形の大まかな意味をとらえようとすることです。
この過程は、「似ている」「同じ」の視点から始まります。この図形に対する見方・考え方に個人差があることを意識しておきたいと思います。
そして、仲間分けや図形に名前をつけること、次にその性質や内包をとらえさせながら、他の概念との比較を通して、形成されていきます。
【図形学習の基本的な活動について】
○ 観察や分類を通して図形を定義する。
○ 図形を弁別する。
○ 図形を構成したり作図したり
○ 図形の性質を調べる。
上記のようなことがありますが、順序性があるわけではありません。
しかし、図形の構成要素に着目して共通な性質を取り出し、図形の定義を明確にし、その後、定義に基づいて図形を弁別したり、構成したり、その定義に当てはまる図形を集めたり、その図形の性質を見いだしたりする過程を踏むことにより、図形の理解が深められます。
この時の図形に対する認知の仕方に個人差があり、「子どもなりの見方・考え方」があることを意識しておきたいと思います。
【弁別・抽象・捨象について】
「弁別」は、見たり、さわったりして、違いを見分けることです。
「抽象」は、図形の共通な特性や属性である構成要素また、性質を重点的に抜き出すことです。
「捨象」は、「抽象」の反対で、ある要素を特に抜き出して、これを無視したりする考えです。
(例)机の板は、長方形と考えると、その材質や角の丸み、また机の小さな傷も切り捨てて「長方形」とみる考え方です。
【図形の構成要素について】
図形の構成要素に、主に次のようなものがあります。
直線 面 直角 辺 頂点 角 中心半径、直径 対角線 円周 平面 底面 側面
【図形分析の着眼点について】
図形分析の着眼点は、主に次のような事項があります。
観察、構成などの活動 位置
観察、構成、分解などの活動
構成要素 辺の相等 角の相等、平行 垂直 円周率、見取り図 展開図
図形領域における授業研究の際に、学導指導要領の解説書の読み込みを通して、実践と理論を重ね合わせ、学習内容の理解を深めていただければと思います。
1年
いろいろなかたち
2年
三角形四角形(正方形、長方形、直角三角形)、箱の形
3年
二等辺三角形、円と球
4年
平行四辺形、ひし形、台形
立方体、直方体
四角形の面積
5年
多角形、正多角形、
角柱、円柱
体積
6年
対称な図形
図形の拡大縮小
円の面積
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