5年 体積4
先生方への補足
子どもの学習支援わかる教え方 by いっちに算数

  【小学校の先生方への指導補足】
 つづき

〜「体積」の学習は、「量と測定」の領域ですので、この領域のおさらいをしておきます〜

小学校では、「体積」の学習が、おおむね、「連続量」を扱う「量と測定」の最後の学習となります。

その1
「量と測定」の領域のねらいについて

量と測定の学習では、1番目に、量の大きさを公式を用いて数値化する能力、2番目に正確な実測や作図などの技能面の能力の育成が大切です。そして、3番目に、量感をとらえさせることを大切にしたいと思います。

その2
「量と測定」の指導の3つの目標について

@ 各種の量が持つ個別の特徴や成り立ち、性質を理解すること
A 実在する必要な量を正確に抽出し、ものさしやはかりなどの測定機器などを用いて、調べたり、公式を用いて量を求めたりすること
B 量の概念を用いて、平面図や立体模型などを書いたり、制作したりすることととらえることができます。

その3 子どもたちが日常生活で体験する「量」と「量と測定」学習の関係ついて
子どもたちは、日常の生活の中で、量が体験的に使われていることを知っていいます。それは、暑い寒いなどの環境条件や動物本来の本能である温度・味・におい・音・光・痛みなど、量から判断して、行動しているからです。どのくらい暑い・寒いかを知ったり、ケーキの量が多い、少ないなどを具体的に知るためには、量の数値化が必要です。これらのことを踏まえて、算数の「量と測定」の領域では、「長さ・重さ・角度・・時間や時刻・面積・体積」などの学習があることをとらえておきたいと思います。

その4
「1年生の大きさ比べ」や「長さ比べ」と「量と測定」の学習について

1年の「長さ比べ」の学習では、「2つの鉛筆の端を手で隠して、表面的に見えるところだけ見せて、どちらが長いか」と聞きます。子供たちは、表面的に見える長い方を指さして、長いと言います。その後に、2つの鉛筆の端の手で隠していたところを見せて、結果を知らせると、「ずるい」と言います。
  
どうしてと聞くと、子供たちは「鉛筆の長さを比べる時は、端っこを揃えなければいけない」と言います。
長さ比べなど、量の比較は、片方をそろえておく、すなわち基準を作っておくことを大切にしなければなりません。このことを通して、子供たちは、「直接比較」「間接比較」「任意単位による比較」「普遍単位による比較」4つの段階を学んでいきます。体積の学習もこの系統を踏んでいるとらえると思います。

その5
「体積」の学習が、おおむね「外延量」を扱う「量と測定」の最後の学習となることについて

量」の中には、自然的に最小単位の決まっている量があります。リンゴの数とか、人間の数とかです。このような個物の多さを分離量と言います。
これに対して、水のかさとか時間の経過などは、いくらでも細分できるので、連続量と言います。この連続量の中には、液体のかさのように、合併するとたし算になるものがあります。そしてこういう量を外延量と呼び、小学校では、体積の学習までです。
しかし「密度や速度」などのように、合併してもたし算にならない量があり、5年2学期「単位あたりの量」の学習で、こみぐあいや速さの学習がありますが、ここで扱う量が、内包量です。6年では、単位換算がありますが、ここで外延量のおさらいになるととらえられます。

その6
面積や体積の学習と「量の性質」との関係について

「量の性質」として、量が移動したり、分割したり、変形したりしてもその大きさは変わらないという「量の保存性」があります。また、同種の二つの量は、量の比較ができて量の大小や相当関係を見いだすことができす。さらに同種の二つの量は、加減性もあります。この考え方を使って、子供たちは、「面積」や「体積」を学んでいます。しかし、5年生の「速さや密度」などの内包量を扱った学習では、異なる二つの量を扱いますので、連続量のように単純比較ができません。密度などでは、食塩水の辛さなど互いに比較できるという性質もあります。

 先生方の授業づくりや研究授業の一つの参考にしていただければと思います。

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